慢性毒性試験


ラットを用いた魚肉ペプチドの経口投与毒性試験(慢性毒性試験)

実験協力&データ提供:関西大学 化学生命工学部 生命・生物工学科 福永健治教授

魚肉ペプチドに慢性毒性はなく、健康増進効果がある

【背景】
 これまでに魚肉ペプチド(FP)摂取の安全性について、単回投与急性毒性評価試験および90日間投与亜急性毒性評価試験を行い、FPが全く毒性を有しないことを報告した。本研究では、FPのさらなる安全性を確かめるために、一年に及ぶ投与実験により毒性評価を行った。

【方法】
 
実験餌料 全試験群AIN93G組成に従い、FPおよび対照としてビタミンフリーカゼインを窒素源とし、餌料中窒素含量2.8g/100g(カゼイン当量=20%)になるように調製した。餌料タンパク質であるカゼインの半量をFPに置換した餌料を試験餌料とした。
実験動物 Wistar系雌雄ラット4週齢(雌100-110g、雄130-140g、各群10匹)を用いOECDのGLPガイドラインに従って飼育実験を行った。
飼育条件 対照群用餌料による7日間の予備飼育後、体重別層化無作為抽出法により群分けし、試験餌料による52週間の本飼育を行った。動物ケージ設置室は、12時間ごとの明暗、室温23±2℃、湿度50±5%に調節し、ポリカーボネート製ケージで飼育した。餌料、水は自由摂取とした。
検査・測定 本飼育期間中、4週間に1回体重測定を行った。52週間試験餌料で飼育後、採血および解剖を行い、血液生化学検査および病理組織学検査を実施した。

【結果】

表1 魚肉ペプチド(FP)反復投与雌雄Wistarラットの体重変化および52週後の各種臓器重量
 

一般状態および体重:
飼育期間52週間、雌雄全固体死亡例はなかった。また、飼育期間中の体重推移に異常は認められず、対照群と比較して有意差はなく、良好な成長が認められた。

各組織重量、剖検および病理組織学的検査:
FP給餌群雌雄では肝臓重量の有意な低下が認められた(表1)。これはすでに報告した脂質代謝実験の結果から、肝臓中性脂肪の減少効果によるものであると考えられる。また、FP給餌群雌雄で、有意な白色脂肪組織の減少および褐色脂肪組織の増加が認められた。これは、FP給餌による脂肪燃焼促進効果と一致する結果である。その他の雌雄全例の各器官、臓器重量器官および組織の外観観察では対照群との差異は認められなかった。

血液生化学検査:
FP給餌群雄では血清総脂質の有意な低下が認められた。これは血清中性脂肪およびコレステロールの減少によるものと考えられる。

【まとめ】
脂肪組織の減少など健康増進的作用は確認されるものの、一年におよぶFP投与によっても一般所見、解剖病理学的所見、血液生化学検査いずれにおいても全く異常は観察されず、改めて高い安全性が確認された。