「かまぼこ」は癌の増殖を抑制する!
【主任研究者】 関西大学 工学部 生物工学科 食品工学研究室 助教授 福永健治  2005年


研究タイトル:「進行性癌のかまぼこ製品摂食による増殖抑制効果」

【研究目的】
わが国の死亡原因の一位は癌であり、その比率は増加の一途をたどっている。癌による死亡を効果的に抑制するには,予防,早期発見,早期治療は大前提である。しかし,進行性癌については,増殖および転移を抑制することによって,効果的に予後の改善, QOLの向上をはかることが可能で,死亡の減少も期待できる。そこで本研究では,進行性癌に対するかまぼこ製品摂取による増殖抑制効果について評価することを目的に,マウスに癌(骨髄細胞腫瘍;SP2)を移植したモデル系を用いて検討した。

【研究成果】
SP2を移植したマウスにかまぼこを含む餌料を給餌して,増殖抑制効果を検討した。

その結果,餌料中かまぼこ配合量依存的に癌の増殖を抑制することがわかった。
餌料中タンパク質の20および50%をかまぼこ由来タンパク質に置換した場合,癌細胞の増殖は効果的に抑制され(下図),延命効果も認められた。癌の増殖,転移にともなう血管新生に関与する酵素であるマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)活性についても、 MMP-9で配合割合依存的にかまぼこ給餌で低下がみられ,MMP-2は50%群で低下傾向がみられた。また,抑制効果は,タンパク質のアミノ酸組成に依存するのではなく,かまぼこ由来タンパク質の消化過程で産生するペプチドあるいはタンパク質加水分解物が血管の新生を抑制し、栄養状態を改善した結果である。