「かまぼこ」製品は大腸ガンの進行を抑制する!
【主任研究者】 関西大学 工学部 生物工学科 食品工学研究室 助教授 福永健治  2004年


研究タイトル:「かまぼこ製品摂食による大腸癌抑制効果」

【研究目的】
近年、国民の健康に対する意識が高まり、なかでも水産物に特徴的なイコサペンタエン
酸やドコサヘキサエン酸といった脂肪酸の各種生活習慣病や癌に対する予防効果が注目されてきました。一方、水産物由来のタンパク質については、わずかに動脈硬化性疾患に対する予防効果についての報告がある程度で、その他の健康機能性については全く検討されていません。そこで本研究では、魚肉タンパク質を豊富に含み、我が国の伝統食品であるかまぼこ製品の摂取による大腸癌抑制効果について明らかにすることを目的にマウスを実験動物に用いて検討を行いました。

【研究成果】
化学物質(1,2-ジメチルヒドラジン(DMH)皮下注射)によって大腸癌を誘発したマウスにかまぼこ凍結乾燥粉末を5 および10(w/w)%添加した餌料をマウスに投与し、短期飼育ではACF(癌発生過程にみられる初期病変)発生、長期飼育では癌個数、分化度(癌細胞の悪性度の指標、低分化=増殖、浸潤、転移性が高い)に及ぼす影響を検討しました。その結果、ACF 総発生個数および癌に進展する可能性が高いACF発生個数はかまぼこの給餌群では少ないことが分かりました。また、癌の発生個数、分化度を指標に評価した場合も、かまぼこの給餌によって抑制がみられ、とくに低分化細胞の発生が効果的に抑制されていました。これら癌の抑制効果は、かまぼこ給餌量に依存すること、かまぼこのアミノ酸組成には関係せず、かまぼことして魚肉を経口投与摂取することで発揮されていることが分かりました。