魚肉ペプチドのアンチエイジング効果について
実験協力&データ提供:神奈川歯科大学生体管理医学講座・薬理学分野 吉野文彦准教授
魚肉ペプチド摂取により生活習慣病予防が期待できる
【目的】
これまでに魚肉ペプチド(以下FP)の抗酸化作用についてラジカル消去効果やSHRラットの酸化ストレス低下作用など
が確認されてきた。本研究では、抗加齢医学の観点からFP摂取がQOL(Quality of life)レベルを向上させるか否かを検
証するため、30〜50歳の男女を対象としてアンチエイジング効果を調べた。
【方法】 30〜50歳の被験者(男女各10名、平均37.6±5.5歳)に60日間、1日合計3gのFPを摂取させた。摂取前および摂取後に
被験者の身体測定および血管年齢測定、血液生化学検査、尿検査を行い、FP摂取前後の下記指標の変化を比較した。
- 血管年齢:動脈硬化の指標となる数値。実年齢と比較して高いほど動脈硬化を発症しやすい。
- 高感度-CRP:炎症が起こっているとその数値が上昇する。数値が高いほど動脈硬化を発症しやすい。
- 血清LPO:血清の過酸化脂質濃度を示す数値。数値が低いほど動脈硬化になりにくい。
- エストラジオール:女性ホルモンの1つ。数値が高いほど骨粗鬆症になりにくくなる。
- 8-OHdG:体内が酸化されると生成する物質。数値が低いほど酸化ストレスが少ない。
【結果】
血管年齢
FP摂取により血管年齢は46.8歳±13.2から40.6歳±12.2(-13.3%、p=0.066)に減少する傾向が認められた(図1)。
血液検査・尿検査
血液検査および尿検査の結果を図2〜5に示した。FP摂取後に高感度-CRPは減少する傾向がみられ(図2) 、血清LPOは有
意に減少した(図3)ことからFPの摂取が動脈硬化予防に関連していることが示唆された。また、エストラジオールは増加
する傾向が認められ(図4)、酸化ストレスのマーカーである8-OHdG(図5)は減少する傾向を示した。これらのことからFP
の摂取が骨粗鬆症を予防し、酸化ストレスを抑制する可能性があることがわかった。

【まとめ】
動脈硬化症は、スーパーオキシド やヒドロキシラジカル などのROS(活性酸素種)による酸化ストレスが要因の一つだと考えられている。本研究の結果から、継続的なFP摂取が生体内での酸化ストレスを軽減することが示され、このことは生活習慣病の予防につながると考えられる。 |