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魚肉ペプチド給餌によるサイトカインの産生パターンに及ぼす影響 実験協力&データ提供:関西大学 化学生命工学部 生命・生物工学科 福永健治教授 少量の魚肉ペプチドでも免疫の維持や向上に有効である 【背景】 これまでに、魚肉ペプチド(FP)には腫瘍増殖抑制効果や腫瘍定着抑制効果などの抗ガン作用があること、若齢マウスさらには老齢マウスにおいても細胞性免疫力の回復効果があることが確認されている。そこで、本研究では抗腫瘍作用に関与していると考えられるサイトカインの産生に対するFP給餌の影響について調べた。 【免疫とサイトカイン】 サイトカインとはリンパ球より産生される低分子タンパク質であり、細胞の増殖や分化、細胞死などに関与している。リンパ球の一つであるヘルパーT細胞は抗原刺激に素早く反応して高濃度のサイトカインを産生し、その産生パターンにより、ヘルパーT1(Th1)およびヘルパーT2(Th2)に分類される。Th1細胞は炎症反応を制御する腫瘍壊死因子(TNF-a)やインターフェロン-g(IFN-g)などを産生し、Th2細胞は抗体産生制御に関与するインターロイキン-4(IL-4)などを産生する。多くの研究で、これらTh1/Th2バランスの異常がガンやアレルギー性疾患、自己免疫疾患などに関与していることがわかってきている。本実験では、Th1から産生されるTNF-aおよびIFN-gを腫瘍抑制の指標として、Th2から産生されるIL-4をTh1/Th2バランスの指標として測定を行った。 【方法】
【結果】 表に脾臓におけるサイトカイン測定結果を示した。有意差は認められなかったが、Th1系のIFN-gにおいて、FP5および10%群で増加傾向がみられた。同様に、TNF-aはFP10%群で減少傾向が認められ、Th2系のIL-4ではFP2%群でのみ減少傾向がみられ、TNF-aおよびIFN-gとは異なる挙動を示した。 【まとめ】 本研究の結果から、FP摂取によりTh1/Th2バランスが改変されることがわかった。しかしそれは、必ずしも給餌量依存的に変化するものではなかった。これらのことから、少量のFP摂取でも免疫の維持や向上に有効であると考えられる。 |