「かまぼこ」には血糖値上昇抑制効果がある!
【主任研究者】 矢澤一良 東京海洋大学大学院ヘルスフード科学講座客員教授  2005年


研究タイトル:「かまぼこの血糖値上昇抑制作用」

【研究目的】
昨年度の助成研究では、かまぼこの各種生活習慣病に対する作用を検討し、マダラかまぼこに血糖値上昇抑制作用があることを見出した。血糖値上昇抑制作用をもつ食品は糖尿病を防ぐために有用であることが知られている。糖尿病は最も身近な生活習慣病の一つであると共に、その患者数はますます増える傾向にある。2002年の厚生労働省の糖尿病実態調査によれば、糖尿病の患者数は予備軍も含めて1620万人と言われている。糖尿病になって起こる網膜症、腎症、末梢神経障害は三大合併症と呼ばれ、糖尿病の患者に致命的なダメージを与える。 今年度は血糖値上昇抑制のメカニズムや魚種や加工法の違いによる血糖値の上昇抑制効果を調べた。

【研究成果】
マダラのみならずイサキ、マダイを用いたかまぼこも顕著な血糖値上昇抑制作用を示した。また、マダラにおいて、生すり身ではその効果が見られなかった。また、かまぼこ状でない蒸したすり身には血糖値上昇抑制作用が見られたが(図1)、かまぼこをタンパク質分解酵素処理した時には血糖値上昇抑制作用が診られなかったことから、魚類に普遍的に含まれており、加熱処理を受けたタンパク質が血糖値上昇の抑制に関与していることが示唆された。また、かまぼこ摂取後、血中インスリン濃度が上昇したことから(図2)、インスリン分泌促進を介して血糖値の上昇を抑制したことが示唆された。



図1 蒸したすり身とかまぼこの血糖値上昇抑制作用



図2 かまぼこのインスリン分泌促進作用